今日はODENが美味いなあ

まったりゆっくり更新中~。…今更MH3Gにはまってます。

守護怪鬼装伝 第一話「怪夜」

はじめに
この小説には
駄文
自己満足
厨二(重要
成分が含まれます。以上の項目が大丈夫な方は、分量と用途を守って正しくゆっくりしていってね

...

 古より伝わる存在、【妖怪】。

 彼らは「善」と「悪」に別れるが、その内「悪」の妖怪は人々に【古怪】と呼ばれ、恐れられていた。

 しかし、そんな古よりの災厄を断つ「善」の妖怪も存在していたーー人々は彼らを【守護装妖怪】と呼んだのである。

守護怪鬼装伝
第一話「怪夜」

 私は走っていた。
 暗いトンネルの中を、必死に。
 消えかかった電飾は不気味に点滅を繰り返し、安全かどうかも定かではないといった感じだ。
 暗闇の中、尚も私は走り続ける。
 「何かに追われている」...そんな直感が、頭の中を駆け巡っていた。
 「はぁっ....はぁっ...」
 さほど運動が得意でもない私はすぐに息切れを起こし、その場で立ち止まる。
 本当は立ち止まっちゃいけないのに。
 私を追って来た「何者か」は、舌舐めずりと思われる不快な音を立て、ゆっくりとこちらに向かって来る。
 次の瞬間、「何者か」は私の目の前に立っていてーー
 その鋭い腕を、振り上げた。

...
「....うーん、これで大丈夫かしら」
  辺りが明るくなり、私の目は眩む。
  目の前には歪で醜い姿をした怪物ーーの被り物がいた。
「良かったよ、ナイス演技」
 声をかけられ、私はスポーツドリンクを手渡される。
「これで最後のシーン...だから、明日の本番には間に合うわ!」
 周りから歓声が湧き上がる。
私は一口スポーツドリンクを口にしてから、セットがあるその部屋を出て行った。

...

「ふう....」
 セットがあった、ホールの外。
通路の中で、スポーツドリンク片手に、一人。
 ...あ、ここに書くのが遅れたな...私は龍ヶ峰 閃(りゅうがみね せん)。ごく普通の女子高校生だ。
 演劇部所属の高校三年生で、可もなく不可もない、平凡な毎日を送っている。
 唯一の特徴は透き通るような青髪で、これは母譲り。
 背中辺りまで届く長い髪を、一つに縛ったような感じ。ポニーテールと言えばいいだろうか。
 で、そんな私は今...今度開催される演劇部の定例発表会の主役を任されていた。
 題材はずばり「妖怪」。
 古くから伝わる妖怪が、現代に現れたら...という感じだ。
 と言っても明るい物じゃなく、悲しいシナリオが大好きな監督のおかげで最終的にはバッドエンドになるんだけど。
 まあ...でも、年に指で数える程しかない定例発表会で主役に抜擢されただけで、私は満足していた。
 勿論、主役としての責任感と共に。

...

 開演を明日に控え、今日はしっかり休むようにと監督から言われた後、部活は解散となった。
 私は少し派手な衣装から無機質なジャージに着替え、ちょっぴり軽い足取りで学校を出る。
 なんてったって、私が主役の演劇は明日発表なのだ。観客の歓声と拍手が楽しみで心踊るのは至極当然と言っても過言ではない。
 夕焼け空の中、私は帰路についていた。
 少し急勾配な下り坂をゆっくり歩き、ふと、私は後ろに振り返る。
 目の先には、豊かな緑に囲まれた大きな山。
 私が住む街・怪夜市は、中心に聳える大きな山が特徴的で、街の至る所に緑が生い茂っていた。
 少し古風な建物もちらほらと目に入り、口コミではちょっとした観光スポットとして知られているんだとか。
 それもそのはず、怪夜市の中心にずんぐりと佇む大きな山には、「妖怪が住む」という変な噂が立っているのだ。
「山菜を採りに行く途中、奇妙な青い影を見た」だとか、「自分より遥かに大きな図体をした怪物に襲われかけた」だとか、街の住人からはそんな話が発せられる。
 となると、オカルトだとかそんなのが好きな他所の人はすぐさま集まってくる訳で...
 まあ、私はそんなのは信じないんだけど。
 最も、あんなに大きい山なのだから、妖怪がいるならすぐに見つかってもいい話だ。
 多分、証言は人から人に伝わって拡大してしまったんだろう。
 明日の定例発表会の題材もそのまま「妖怪」だが、今時そんな古風な存在がいるとも考えにくかった。
「...って、こんな所で何考えてんだろ、私」
 山を見つめたまま立ち尽くしていた私は少し頭を掻くと、再び自宅に向かって歩き出す。
 最後の練習で詰めに詰めた為に、私の身体は既にヘトヘト、早く帰ってすぐさまベッドに飛び込みたかった。
 そうと決まったら有言実行、善は急げ。私は早くに自宅の戸を開けるべく小走りになる。

 そんな時だ。

「......あれ?」
 辺りが暗くなっていた。
 可笑しいなと思いつつ、スマホを取り出し時間を確認すると、まだ十八時だ。冬でもないし、外はまだ明るい筈ーー
 そう思った次に私は、方向感覚を失っていた。
 そう、【周りに何もなかった】のだ。

 とにかく、黒、黒、黒。
 見渡す限り真っ暗で、私以外誰も、何も無いーー「無」の空間。

「ちょ、え...!?」
 予想外(始めから予想なんてしてなかったけど)の展開に混乱しながら、私は走った。
 得体の知れない恐怖に身を震わせ、行き先もわからないまま。
「ここは、何処なの.....!?」

 驚きと、不安が混じった言葉が、口から流れた時。

「...久々の女だら....しかも、特別に上級だら」

 低い声が、耳に入った。

 次に、鼻にツンと来るような、不気味な異臭。
 次の瞬間、私は本能的な危険を察知し、弾けるように飛び出す。

 真っ暗な空間は制限無く無限に広がっているようで、走っても走っても終わりが見えない。
「はぁっ....はぁっ....」

 ....あれ?この光景、何処かで見たような....
 ーーそうだ。先ほどまで練習していた、演劇の最後のシーン。
 主役の少女である私は走り続け、息切れして、立ち止まって、そしてーー
「....!」
 気付いた時、私は立ち止まってしまっていた。
 はあはあと息切れを起こし、手のひらを膝に付けて。
 低い唸り声と共に、私を追ってきた「何者か」は舌舐めずりと思われる不快な音を立て、ゆっくりと近付いて来る。
 余りにも演劇と似た光景で、本当に現実かと見間違う程だった。
 神経が麻痺を起こし、私の意識は途切れーーぱったりとその場に倒れ込む。
 薄れゆく意識の中で見た景色は、目の前に迫った「何者か」の鋭い腕。

「もう...駄目なのかな」

 「諦め」という負の感情が精神を支配し、私はその目を閉じかけたーー

 その時だ。

 私の前に立つ、青い影。
 ヒトのような姿をしているが、その体色は深い青で、頭頂部には三本の鋭利な角が生えている。
どうやら覆面のようで、その表情は窺い知れない。
 その青い影は...立っていたのでは無く、既に宙を舞っていた。
 私を追っていた「何者か」は私ではなくその青い影に身体を向け、煩わしく思ったのかその腕を振り上げる。
 しかし、「何者か」の腕は虚しくも宙を掻いた。
 その理由は至って簡単、単純。
 青い影は、既に「何者か」の背後に迫っていたのだ。
「..........っ!」
 青い影は音も無く「何者か」の腹部に右腕を突き刺す。
「...おのれ....!」
 悲鳴混じりの声を耳にも留めず、青い影は突き刺した右腕を引き抜く。  すると、さっきまで吼えていた「何者か」は灰に変わり、風に流れて消えた。
「..........」
 倒れている私を、その青い影はゆっくりと見下ろす。
 次こそ本当に、私の意識は途切れた。

...

 気が付くと、私は自宅の目の前で寝転んでいた。
 のそりと起き上がりスマホを確認すると、丁度十八時半。
「...夢、だったの?」
 私がさっき見た...筈の、あの怪物と、私を救ってくれた、あの青い影は。
 「.........」
 考えていても仕方ない。
 私は気を取り直し、自宅の戸を開ける事にするのだった。

...

 自宅に入る青髪の少女ーー龍ヶ峰 閃を、高台から見下ろす男が一人。
 いや、男と言っても、その姿は人間と捉えるには少々難があった。
 艶があり、鈍く光る深く青い体色、風に靡く廃れた白い布、そしてーー頭頂部に輝く黄金色の三本角。
 ...その姿は、正に【鬼】そのものだったのである。
 【鬼】の姿をした男は一人頷くと、高台から跳び上がる。
 家々の屋根伝いに進む先はーー怪夜市中心に聳える、大きな山だった。


続。
 

あとがき。

...という訳で、ちょっとした前振りのみで始まった「守護怪鬼装伝」第一話、如何だったでしょうか?

私自身、もう「なるようになれ」といった感じで、どれだけ進められるか試行錯誤の途中です。

次の更新はネタが纏まってからになりますが、その時はまた読んでいただけると嬉しいです。

ではでは。

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